INTERVIEW
今いる場所から更なる高みへ セラピスト育成にも着手
自律神経失調症、失声症を煩い、苦しい時期があったものの、アロマセラピーによって大きく人生が変化したという小林ケイさん。
現在は講師・セラピストとして、人生の悩みを抱えている方や、生き方を変えたいという方の真の目覚めをサポートしています。
そんな彼女とアロマセラピーの出合い、これまでの道のり、香りを通じて伝えたいことなど、さまざまな想いを伺いました。
――アロマセラピーに出合ったいきさつを教えてください
20代はじめに突然自律神経失調症の発作が出たんです。
自分で歩くこともできない、まともに会話することもできなくなってしまって。
でも、病院で検査してもどこも「異常無し」。
担当の先生から『検査で何も悪いところはないって出てるけど、明らかに自分でおかしいと思うでしょ?こうなったのは何が原因だと思う?』と質問されて。
「・・・仕事のストレスだと思います」と答えたら、その場で診断書を出されて勤めていた会社をその日付で退職。
突然のことで動揺したけれど、内心ホッとしたんですね。合わない仕事でずっと辞めたいと思っていた。でも、辞める勇気がなかったんです。
けれど、会社を辞められた代償は大きかった。自律神経失調症だけじゃなくて、失声症、うつにもなって、廃人生活が始まりました。
生きる気力がない、来る日も来る日も布団の中で息しているだけの自分に危機感を覚えて・・・
「自分の事を何とかしてあげられるのは、自分しかいないんだ」って、目が覚めたんです。
思い返せば、それまでの私は自分のことを自分で決めることがなかった。
いつも人に合わせたり、人からどう思われるか、の基準で生き方を決めていたんですよね。
今回仕事を辞めたのも、自分で辞められないから病気を引き起こして病院の先生に決めてもらった。
すごく情けなかったです。自分の身体をこんな風にしてしまったのは、紛れもない自分自身なんだと痛感したんです。
それから自分で自分を健康にしてあげたい、と思うようになり、まずカラーセラピーを学びました。
色の世界に癒やされましたね。色が私の心を代弁してくれる。
でも、コンサルテーションの練習で行き詰まってしまったんです。失声症が治っていなかったので、ボトルのリーディングができない。
「間違ったこと言ってしまったらどうしよう」と、不安で声が出ないんです。
自分自身を癒せれば十分だったのに、コンサルテーションの難しさで一気に失意に陥って・・・そんな中、アロマセラピーに出合いました。
実はあまり興味がなかったのだけれど、スクールの校長先生に勧められたんです。でも、初回の授業で衝撃を受けましたね。
「私が求めていたのは、コレだ!」って、魂がワクワクするような感覚を初めて味わいました。
――アロマセラピーにそこまで衝撃を受けたのには、なにか理由があったのでしょうか。
アロマセラピーは科学的でもあり、直感的でもある。
「イイ香りでリラックス」だけではなくて、香りが脳にどんな風に働くのかを理論的に知ることで安心できたんだと思います。
そして、言葉が要らないことも大きかったかもしれません。
トリートメントが私を変えてくれました。施術をしていると、頭の中が空っぽになって目の前の現実に集中できる。
いつも不安や考え事で頭がいっぱいだった私に「無」の世界を教えてくれたのはトリートメントでしたね。楽しくて、施術にどんどん夢中になっていきました。
当時は、アロマセラピーがまだマイナーだったので、まずはアロマを知ってもらおう!トリートメントを体験してもらおう!
という気持ちで、スクールを卒業と同時に自分の名刺を作って、出会う人に頼みこんでトリートメントを受けてもらうという日々が始まりました。
アロマの楽しさを伝えたい、と思うと、不思議と誰とでも話ができる。
・・・あれ!?いつの間にか失声症が治ってる!気づけば自律神経失調症の発作も出てない!
結局、私の病気はアロマセラピーで完治できたんです。
以前の私みたいに、辛い症状に悩まされている人はたくさんいるはず。
そういう人たちにアロマセラピーを知ってもらえたら・・・という気持ちがどんどん膨らんで、「アロマセラピーを仕事にしよう」と決心しました。
でも、1人暮らしだったから毎月の生活費は絶対に稼がなくちゃならない。
数年間は、派遣の仕事の傍ら、平日の夜や土日にアロマセラピーの仕事、という感じでしたね。
――その後、講師になったきっかけは何だったのですか?
ある日、仕事中に電話がかかってきて、大手のドクターズコスメの会社から「スクールを開校するので、その中のアロマセラピー学科を立ち上げて欲しい」と。突然の依頼でした。
なぜ私が???とビックリしましたよ。何の接点もない、細々とアロマセラピストをしているだけの私に、どうして?って。
でも、今までアロマセラピーと真摯に向き合ってきたことへのギフトなんだって素直に喜んで、ありがたく引き受けました。
後で、リフレクソロジストの友人が推薦してくれたことを知って、感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。
推薦してくれた友人のためにも中途半端なことはできないと思って、収入が減るのを覚悟で、派遣の仕事を退職して講師の仕事に専念しました。それが2000年でした。
――2002年に独立した後はどんな活動をされたのですか?
独立当初はアロマセラピストの養成に力を入れていました。
私自身がアロマセラピーに救われたし、人生を変えることができた。同じように、アロマセラピーで健康になれる人、幸せになれる人がたくさんいると思ったんです。
1人でも多くの人にアロマセラピーが広まるように、アロマセラピストを育成して、世の中で活躍してもらいたいという気持ちがありました。
けれど、妊娠したことがきっかけで自宅教室に切り替えた時期があったんですね。
そのとき、現役アロマセラピストの方から『もう一度基礎からアロマを学び直したい』というご相談を受けたんです。
お話しを伺ってみると、むくみと言われたらサイプレス、肩こりと言われたらブラックペッパーと、お客様のお悩みに対して決まったエッセンシャルオイルしか提案できない、だんだん自分のアロマセラピーに自信がなくなってきた、とのことでした。
そこでエッセンシャルオイルを1本ずつ、詳しくレクチャーするようになったのが、『専科コース』(現在はAwakening Aromatherapyへ)の始まりです。
最初はマンツーマンだったのが、次第にアロマセラピストの方の間で広まっていって、いつの間にか自宅教室が「アロマセラピストの方の学び直しの場」というスタイルに変わっていきました。
今のスクールでも、一からアロマセラピーを学びたいという方と同じくらい、現役のアロマセラピストや他の療法家の方が多くいらしています。
ありがたいことに全国から受講にお越しくださって、そこでセラピストのネットワークが広がっていくのも私にとって嬉しいことです。
――講師だけでなく、アロマセラピストとしてもお仕事をされているんですね。
はい。セラピストはずっと続けています。
トリートメントから理解するエッセンシャルオイルの効果もたくさんありますし、経験を重ねるほど『アロマセラピーの真髄はトリートメントにある』ということが実感できます。
スタンダードなアロマトリートメントも施術しますが、いらっしゃる方でダントツに多いのは、人生の転換期を迎えている方。
今までの生き方を変えたい方、今の自分に何か違和感を感じる方に、人生の目的や本来の自分らしさを取り戻していただくセッションを行っています。
アロマセラピーだけでなく、カラーセラピーやエネルギーワークも取り入れた、オリジナルのセッションです。
――「Awakening Aromatherapy」というのはどういったものですか?
エッセンシャルオイルの香りで「本当の自分」に目覚めるアロマセラピーのプログラムです。
そんなことを言うと、現実離れしてるようですが、力を入れたいのが肉体に意識を集めること。そのため、トリートメントのレッスンは大切にしています。
肉体の感覚が高まると「今、ここ」の現実を生きやすくなる。
いつも不安や考え事で頭がいっぱいで、自分自身とじっくり向き合うことができなかった私が変われたのは、トリートメントの影響が大きかったので、その体験を元にしています。
――最後に、アロマセラピーの魅力を教えてください。
アロマセラピーは、心や身体の状態がよくなるのはもちろん、生きることへの意欲や意識、“自分”を生きるための自信を高めてくれる、言ってみれば「幸せな人生を歩むためのツール」です。
「自分らしさがわからない」 「変わりたいけれど、どうやって変わっていいかわからない」
そんな思いを抱えている方に、ぜひ香りの力を信じて変容してもらいたいですね。私も、これからもアロマセラピーとともに成長し続けたいと思っています。